人生暇つぶし

恩師である教授の口癖。人生暇つぶし。学問暇つぶし。

見えない敵と闘う私たち

 私は生まれつきアトピーがある。後天的に摂食障害や社交不安障害などの病気になった。これらはどちらも新しい形の疾患だと思っている。メカニズムが不明瞭で、唯一無二の治療方法がない。不明瞭というのは不適切かもしれない、徐々にわかってきたこともある。それでも、薬や手術だけなど、西洋医学だけで完治するものではない。

 アトピーにはステロイドという薬が処方される。個人的に支持する仮説は、副腎のコルチコイドが食事なりストレスなりに大量に用いられることで皮膚の炎症を抑える際にコルチコイドが不足するというものだが、その仮説から考えればステロイドによって炎症が治まるのもわからなくはない。しかし、それは炎症抑制作用が主というよりも、コルチコイドの不足分をステロイドの塗布によって補うことに意味があるのだと思う。人間の身体の中で作られるステロイドを経皮摂取するからなのか、はたまたステロイドは関係なくアトピーによる色素沈着が残っているだけなのかはわからないが、ステロイドを塗ると黒くなる、というのはアトピー患者ならよく聞く話だ。ステロイドの強さもまた段階があるため、それによって耐性ができてしまうこともあり(そもそも長期的に塗るものではない)、脱ステロイドという治療方法もよく話題に上がる。ステロイドや保湿はその是否がまだまだ議論され続けている。

 精神疾患にも似た様なものを感じていて、はて薬が効くやら効かないやら、認知療法がいいやらダメやら、カウンセリングはどうだの、いろいろな意見がある。自分の場合は、薬はあまり効かなかったように思う。程度がそれほど深刻でなかった(基準は人それぞれだが)ため、調子が悪い期間は日常生活が壊滅的ではあったものの、時間と環境を変えたことが投薬よりも治療につながったように思う。精神疾患は脳に異常があるケースが多いのではないかと思っているが、一人で生活ができないというケースを除いては、環境が整えばどうにかなることもあるのではないだろうか。自分の場合も、今は断薬をしているが、光にはサングラスなり日傘なりの遮光、臭いにはマスク、音には耳栓なりイヤホンなりでどうにかやり過ごしている。端から見れば不審者だが、それ無しで過ごすことができないのでしょうがない。あとは適度に場所を避けたり物や人を避けたりして自己防衛するくらいしか。避けられない時は困るし割とあるけれど、とりあえず寝込む。頭痛はひたすら我慢。寝られない時はとりあえず目を閉じる。だって薬飲んでも変わらないからそうするしかないよ、という感じ。これって「にわか」精神疾患者なのだろうか。

 薬を飲んだり塗ったりすることがむしろ自分にとっては大きなストレスになっていて、医療費もバカにならないのでそういうのが要らない環境が欲しい。ノーマライゼーションの概念が、障害のある人でも普通に暮らせるという部分にフォーカスされすぎてバリアフリーと混同されてないかなと思うことがままあるんだけど、ノーマライゼーションってある意味そういう環境づくりもその中に含まれているんじゃないのかな。そう考えてみると、社畜を生み出す労働至上主義みたいなのはあかんのじゃないかな。資本主義を問い直す意味って、そういう部分にもあるんじゃないのかな。マス取りゲームはもう限界にきているから、経済のあり方を変えていかなきゃいけんのよね。