人生暇つぶし

恩師である教授の口癖。人生暇つぶし。学問暇つぶし。

期待と対価と信頼と感謝

 私は自分のことをアクティブな人見知りだと思っています。団体行動に関しては極力避けたい。だけれども、行動の目的や関心に惹きつけられた場合、人付き合いというネックよりもその興味が上回ることが動機になって参加に繋がります。また、金銭面で後悔するのが嫌で、よく分からない物事にはお金を払いたくありません。だから、人付き合いの円滑化を目的としたような集まりには行きたくないです。同じ集まりでも、その場に来る人に会いたいと思ったらぽんぽんお金を払います。この違いは分かっていただけるでしょうか。ここには自分の中では大きな違いが存在しています。

 全員がそうかはわかりませんが、人が何かへの参加意思を表明するときというのは、少なからず期待が含まれていると思うのです。きっかけは友人からの誘いだったり無料のイベントだったりさまざまなものがありますが、期待が一寸もないならば義務でないものに参加することはしません。少なくとも自分は絶対にしません。つまり、義務でない限りは行動に期待が含まれている、と考えています。善意やボランティア精神での行動だとしても、例えば以前に被支援者からの感謝の言葉を貰った経験などの刷り込みがある可能性があります。それは全く悪いことだとは思いませんし、自分のしたいことをするのはごく当たり前でしょう。

 さて、イベントや企画、そういったものには参加料が発生することがあります。物にお金を払って購入するように、そこから得られるであろう経験等々に対価が生じます。私はケチなので、500円は高価だと考えています。300円はそれほど抵抗はないかな。ただ、徒歩ですぐに行けるような場所ならば300円は払っても構いませんが、交通費が1000円もしたらちょっと考えてしまう。でも興味があればやっぱりぽんぽん払う。私はこんな金銭感覚なのですが、それぞれの人にそれぞれの金銭感覚があります。100円も払いたくないと思う人がいれば、それこそお金を湯水のように遣う人もいるでしょう。それでも、どの人も対価を払う限りは多かれ少なかれ期待をするのではないでしょうか。

 物事への印象というものは極々小さなことの積み重ねから形成されてゆきます。人間関係の信頼も同様です。ふとした言葉を発したときの相手の表情が曇っていたり、相手が小声になったときに目を合わせてくれなかったり、非言語情報には多くのサインが含まれています。当たり障りのない話をニコニコするのは得意な人が多いように思います。そうでない話はどうでしょうか。相手のことをどれだけ知っているだろうか、他の人から聞くあの人と自分の中の印象は一緒だろうか。声を上げて笑いあったりできるだろうか。

 持ちつ持たれつという言葉がありますが、本当に持ちつ持たれつになっているのでしょうか。持たれつ持たれつになっていないでしょうか。残念ながら、誰もが主人公になれるわけではありません。主人公は花形だけれども、それを支える非常に多くの人がいて輝けるものです。支える人が一人二人といなくなれば、主人公は何もできません。衣装さんが消え、小道具さんが消え、マネージャーが消え、監督が消えたらドラマは成り立たない。何か上手くいっていないとき、一度止まって振り返らないといけません。基礎工事ができていると思ったら実は穴だらけだった、なんてことがあったら家も簡単に崩れてしまいますからね。

 意味、目的、期待。一つの物事に多くの人が関われば、その人数分の意味、目的、期待が生じます。全てを満たすことは難しい、ならば何を優先するのか。誰のための何なのか。もっともっと考えないといけません。

 高校の部活動でマネージャーをしていましたが、毎日のモップがけに水の用意、テーピング処置にタイムキーパー、会場整備やなんやらかんやら。一時期、一度も誰からも「ありがとう」と言われなかったことがあって、辞めようと思ったことがありました。マネージャーなんかいなくてもできる、そうかもしれません。自分で準備して自分で処置やらなんやらもすればいいのですから。いろいろとあって環境も改善し、感謝の言葉もまちまちと貰えるようになったので嬉しくなってしまって結局辞めませんでしたが、男子部のマネージャーがうらやましくてしょうがないと思うことは多々ありました。マネージャー云々というか、同期の男子部キャプテンの人を大切にする姿勢は本当に尊敬することが多くて、マネージャーも例外なく大切にされていたからということなのですが。案の定そのキャプテンは本当に多くの人から慕われていたように思います。指導が厳しいという指摘はあったかもしれませんが、天性の人たらし足るや、今でも尊敬する高校の同期の一人です。

 人は道具ではありません。何だか動きやすいな、スムーズに事が進んでいるな、と思うときほど、陰で誰かが支えていてくれるのだと思います。自戒を込めて。