人生暇つぶし

恩師である教授の口癖。人生暇つぶし。学問暇つぶし。

アーティストに対する「神」という表現について

 「神」と称されるものは、現代では多様にわたり存在しています。日本語の変化ないし複雑化に伴い、女子高生を先端とした若者言葉を中心として「神」の対象が増加したように感じます。日本語特有の表現である「やばい」の対象層と若者言葉の指す「神」の対象層は重複している部分があります。正確な定義はよくわかりませんが、肯定的な意味での「やばい」の対象のうち、特に最上級に当たるものに対して、「神」と表現することがあります。

 「神」と称されるものにアーティストが含まれることがあります。アーティストに対する共感・好意・尊敬などの感情表現の一種としてそのように称されることはわりとあるようです。しかし、同じ「神」という表現において、そこに宿る熱量と指向が他とは少し違うアーティストがいます。BUMP OF CHICKENの藤原さんとDIR EN GREYの京さんです。捉え方は人それぞれ異なるので、私の比較や位置づけが絶対であるとは全く思いません。ちなみにアーティストなど著名人に対して敬称をつけるかいつも迷うのですが、今回はさん付けで統一することにします。

 BUMP OF CHICKENは小学生の頃に流行っていたのでよく聞いていましたが、現在の活動に関してはわかりません。ボーカルの藤原さんの絵が好きです。BUMP OF CHICKENの人気の一角に、藤原さんが描く世界観というものがあります。主たるものは歌詞の表現で、インタビューなども副次的に含まれていると思います。私はとにかく歌詞が聞き取れないので曲との複合的な効果というものはわからないのですが、彼の歌詞の表現は主観的であるのにどこか客観的かつ冷静で、なおそこに繊細さが含まれているように感じます。藤原さん自身が非常に線の細い方で、本人の故意の表現ではないと思うのですが、彼の見た目の細さ、そこから感じる繊細さがそのまま歌詞に表れていると捉えています。また、彼のインタビューを読んだ記憶では、個が確立した人物であると感じた覚えがあります。他の人たちが同様に感じているかはわかりませんが、それらのことから、藤原さんに対する「神」の表現は、消え入りそうな、悟りを啓いたような確固たる存在を指しているのではないかと考えています。

 藤原さんとはまた異なる表現として、DIR EN GREYの京さんがいます。DIR EN GREYの初期のジャンルはヴィジュアル系(最近のネオヴィジュアル系(=V系?)とは違うように思いますが名称がわかりません、そもそもヴィジュアル系はジャンルの名称なのだろうか)、現在はロックでしょうか。アルバムごとにテイストが大きく変わるので、中間期はメタルやハードコアの要素が強かったように思います。そもそもジャンルの分類というものが曖昧なので定義が難しいです。ヴィジュアル系とそのファンに関してはまた別途書きたいと思っているのですが、京さんのファンはまさしく信者であり、一種の宗教のようになっています。信者という表現は蔑称の概念を含むことがありますが、この場ではそうではなくまさしく何かを信じる者としての表現として用いています。京さんは自身を表現者であると称しているようですが、ライブのパフォーマンスは称するとおりであり、息を呑むような場面もあります。画面を通して観ているだけなのに、物理的にも精神的にも命を削っているように感じます。私のブログに対して、読み終わった瞬間に一気に感情の重圧がくると称されたことがあるのですが、私は京さんのパフォーマンスに同様の感覚を抱きます。彼の人気の一角としては、やはり歌詩(詞ではないようです)が挙げられます。人を惹きつけるものとしてカリスマ性というものがありますが、京さんの歌詩にそれを感じるのか、はたまた表現なのか、ファンの方々彼に心臓をえぐられたきっかけはどちらなのかが気になっています。京さんに対する「神」の表現は、おそらくそのカリスマ性、威厳を指すのでしょう。

 どちらの方に対しても尊さの意を含むのは変わらないのですが、その性質が対照的で非常に興味深いです。一概には言えないのですが、BUMP OF CHICKENのファン層の中心がいわゆるマジョリティ、DIR EN GREYのファン層の中心がそれに対してマイノリティで、二軸は光と影のような関係にみえます。BUMP OF CHICKENの歌詞からは赦しや悟りを感じ、DIR EN GREYの歌詩からは唯一無二の存在に平伏すと同時に、隠すのが美徳とされるような負の感情の解放承認を得ます。方向を問わず自分を持っており、他者に迎合しない人間の強さにはやはりどこか惹かれるのでしょう。

 私がブログで意思表示を始めたきっかけが京さんだったので、比較対象の一方が自分の関心の真ん中にある時点で文章の熱量が偏るのはわかりきっていたのですが、「神」の表現の比較は忘れないうちにまとめておきたかったので書きました。元々メタルが苦手(たまたま初めて聞いたものが叫んでるだけだったので理解できなかった)で、DIR EN GREYも例に漏れず苦手だったのですが、私は重厚な音楽(いわゆるゴシックでしょうか、教会のパイプオルガンで短調をなぞるようなイメージなのですが。クラシックの影響を受けている面ではヴィジュアル系(最近のではなく)も含まれるのかもしれません)が好きなので、たまたまラジオで聞いた曲がそのニュアンスが強くてそれから聴くようになりました。痛みを表現しているらしく、なんとなく自分が欲していたものと合致してしまったようです。

 音楽に関しては本当に節操なしで何でも聴くのですが、音楽に関する知識はさっぱり身につかないままです。詳しい人からすればジャンル表記や分類が不適切かもしれません。歌ってて楽しいのは、こんなに感情丸出しで大丈夫かよって思うような曲です。自分の中の表現欲求が消化しきれていないのでしょうね。